映画鑑賞、好きですか? 私は特に洋画が好きで、これまでサスペンス、ロマンス、コメディなどいろいろなジャンルを観てきました(ホラーは苦手)。中でも実話をベースに製作された映画の中には、「本当にこんなことが起きたの?」「こんな人がいたの?」と驚くことは少なくありません。同時に、実話がベースだからこそ、フィクション以上に気づきや学びを得られます。
そこで今回は、実話がベースの洋画を10作品、ご紹介します。仕事終わりに、休日に、ぜひ観てみてください🎬
グリーンブック
1960年代のアメリカを舞台に、人種差別が色濃く残る南部をコンサートツアーで巡る黒人ピアニストのドン・シャーリー、彼の運転手として雇われたイタリア系白人のトニー・リップの実話に基づいた物語です。最初は粗野な態度をとっていたトニーが、だんだんとドン・シャーリーとの仲を縮め、友情が育まれます。旅の途中での差別や誤解を乗り越えながら、互いを理解していく姿は、当時の社会の複雑さと人間関係の深さを感じさせるでしょう。
クラシック音楽のコンサートツアーをしているはずのドン・シャーリーが、途中、ローカルな酒場でジャズを演奏するところが、妙に良いなと思いました。ラストは心が温まります。
それでも夜は明ける
1841年、自由黒人として生活していたソロモン・ノーサップが突然誘拐され、12年間にわたって奴隷として過ごした記録をもとにしています。奴隷制度の過酷さと、自由を取り戻すためにあらゆる苦悩に耐え抜く姿勢を描いています。無力な存在として扱われる中でも尊厳を失わない姿から、当時の社会が抱えていた深い闇を知ることができます。
幸せのちから
ホームレス生活を経験した実在の人物クリス・ガードナーの人生を描いた作品。仕事を失い、家族とも離れ離れになる中で、幼い息子と共に人生を立て直そうと奮闘する姿が描かれています。シェルターでの夜、長蛇の列の職探し、わずかな収入を得ながらも笑顔を絶やさない親子の様子から、どんな境遇でも諦めない意志が伝わってきます。
また、ラストでクリス・ガードナー本人がカメオ出演をしている点もみどころ。がむしゃらに奮闘している姿を見ていると、上手くいくかどうかと、こちらまで心配になってくる。
クリスを演じるのはウィル・スミス。その幼い息子を演じるのはウィル・スミスの実の息子。親子での共演となる。
パピヨン
本作は脱獄映画の金字塔と評される、1973年の同名映画のリメイクです。1900年代半ばのフランス・パリで無実の罪を着せられ、終身刑として南米ギアナの流刑地に送られた、アンリ・シャリエールが主人公。彼は胸に蝶(フランス語でpapillon)のタトゥーが入っていたことから、パピヨンと呼ばれます。
彼は道中で出会った偽造犯のルイ・ドガと協力し、極限状態の中でも友情を深めながら、脱獄を何度も試みます。厳しい監獄生活や壮絶な脱出劇を通して、人間の尊厳や希望、執念が浮き彫りになる作品です。
キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン
天才詐欺師フランク・アバグネイル・ジュニアの実話をもとにした映画です。10代にしてパイロットや医者、弁護士を装い、巨額の小切手詐欺を働いた彼と、彼を追うFBI捜査官との攻防がテンポ良く展開されます。知略を駆使しながら逃げ続けるフランクと、追い詰める捜査官の関係は、次第に複雑な感情を含んでいきます。
LION/ライオン 〜25年目のただいま〜
5歳の時にインドで迷子になり、オーストラリアの養子として育てられた男性が、Google Earthを使って実の家族を探し出す物語。記憶の断片と地図から場所を特定していく過程には、情報技術と人の想いの重なりが感じられます。再会までの過程には、葛藤や決断もあり、実話ならではのリアリティが伝わります。
映画を観て泣くことはあまりないのですが、これは途中から涙が止まりませんでした。そして、鑑賞して以来何年も経った今でも、ラストで知らされる事実の衝撃を忘れません。実話だからこそ、考えさせられます。
遠い空の向こうに
アメリカの実在の人物ホーマー・ヒッカムの自伝に基づく物語。炭鉱の町に暮らす高校生ホーマーは、1950年代、ソ連の人工衛星スプートニクの打ち上げをきっかけに、ロケットに魅せられます。そして周囲の反対や経済的困難にも負けず、仲間と共に試行錯誤しながらロケット開発に挑みます。父との確執や友情の葛藤を乗り越え、夢を追いつづける姿を描いた作品。
何か実現したいことがあれば諦めずに挑戦しつづけることが大事で、生きがいにもなると思わせてくれました。青春物語としても良いですね。
永遠に僕のもの
実在の連続強盗殺人犯カルロス・ロブレド・プッチの青年時代をモデルにした、アルゼンチン発の犯罪映画。1970年代のブエノスアイレスで、少年カルリートスは盗みや殺人に手を染めていきます。整った容姿の裏に潜む冷徹さと、淡々とした行動が、観る者に不気味さと現実味を感じさせます。
最強のふたり
パラグライダーの事故で首から下が麻痺した大富豪と、介護人として雇われた移民青年の交流を描いた物語。経歴や性格がまったく異なる2人が、時間をかけて心を通わせていく過程が丁寧に描かれています。実在の人物がモデルであり、立場の違いを超えて築かれる友情は、観たあとも記憶に残ります。
ブルーに生まれついて
伝説的なジャズトランぺッター、チェット・ベイカーの再起を描いた伝記ドラマです。1950〜60年代のアメリカを舞台に、薬物依存と転落によってキャリアを失ったチェットが、音楽と向き合いながら再びステージに立つまでの苦悩と葛藤が描かれます。
主演はイーサン・ホークで、繊細かつ哀愁漂う演技が高く評価されました。モノクロとカラーを巧みに使い分けた映像美や、内面に迫る心理描写が印象的で、ただの伝記にとどまらず、一人の芸術家としての矛盾や孤独を浮かび上がらせる静かな傑作と言えるでしょう。